DanceとかCHEERとかバク転とか

キスマーク飛ばす南風

DAZZLE "Touch the Dark" にいってきた

※ネタバレはありません

吐き出さないと、ずっとずっと抜け出せなさそう。凄いものをみたはずなのに、感動したはずなのに、気持ちはパリっとしなくってなんだか黒いものが溜まっている気がする。余韻。

開演前から雰囲気作りは始まっていて。「没入させる」ことが本当に上手だと思った。長い廊下の奥からパッと出てきた長谷川達也さんのオーラったら、ない。

出演者が、1回では全部理解しきれません、理解できたとしても気づいていない部分がきっとあります、というくらいなので、たった1回、しかも怖がりおののきながら見ただけの私には伝えたいことの1割も伝わっていないのだろうけど、それでも会場を出た瞬間にどっと疲れ(公演中からハイカロリーすぎて息切れしてたけど)、更にその夜夢に出てくるぐらいの威力は持っている。舞台とはまた違う、至近距離からメンタルをゴリッゴリにえぐられる感覚はかつて初めてかもしれない。

4年前アスタリスクの初演で、長い腕と大きな手のひらを綺麗に魅せる、表現力の塊のような長谷川達也さんに一目惚れした。どの瞬間を切り取っても画になるように計算しつくされたカウントと位置構成が、何日も頭から離れなかった。元々「計算しつくされたカウントと演出」が好きで、高校生の頃から体操の舞台用作品構成を考え始め、大学ではPCスキルが加わり波形もいじれるようになった。この瞬間にこうなっていたい、そこにこの音楽があってほしい、というイメージがいつも頭の中にあったし、それを現実に落としていく作業がとっても楽しかった。そして出来上がったものを観て、驚いてくれる、笑ってくれるお客さんの顔をみるのがまた好きだった。

そんな節もあってエンターテイメントLifeを掲げてたくさんの舞台やダンス、ライブを観てきたけど、やっぱり完璧なカウントと構成で表現力と踊りを静かに爆裂させるDAZZLE作品には興奮したし、いつも期待を10000フィートレベルで軽々と越えてくる世界観と完成度は唯一無二で、特別だった。

そんなDAZZLEが、20周年を越え、心震えた記念公演リンドロンドのあとに公開した今回の演目。本当は、今回の直前にあったレジェンド作品に出たかった。でも、オーディションに受からなかった。悔しくて悔しくて、本番もどうしても観に行けなかった。今でも観に行けば良かったかな、きになるな、でもな、とまだ葛藤している。終わったあとなのに。だからこそ、この公演だけを見て、期待していた。

DAZZLEの息がかかったイマーシブシアターは、凡人の頭では想像すらできないものだった。90分のうち1分でもズレたら、作品全体がズレていく。一棟の中でバラバラに動く55人を完璧に没入させ、動かしていく。出演者全員が同じ時計をつけているのが印象的だった。観ることを選んだのはこちらではなく、完全にあちらの手のなかで転がされていた。

 

ここからは少しネタバレかも?内容ではないけれど、ちょっとどうしても吐き出したい。今回ここが私の一番のえぐられたポイントだと思う。
おそらくプレミアムチケットのみの体験なのだけど、あのしてやられたときの膝が抜けるような、心臓バックバクしていた感覚を、忘れたくない。

あるお部屋に皆で通されたとき、他の部屋ではどこに立っていても良かったのが、ここに、とドアの一番近くに誘導された。
そこでの演目が終わり、達也さんがまず私の目を見て、僕についてきてください、と言った。そのあと、みんなにも。私がドアから一番近かったし、一緒にいたお客さんもそれに続いて皆でお部屋を出たのだけど、その後、エレベーターに乗ったのは、私一人だった。
みんなで一列で歩いていたはずなのに、いつの間にか、私の後ろについてきていたはずの人たちがいなくなっていた。
私が乗って振り返った瞬間に閉められたエレベーターの扉、院長と二人きり、ああ、してやられた、と思った。もう緊張と恐怖とわくわくで、壁に手をついてなければ立っていられないほどに膝はがくがくで手も震え、冷や汗が一気に出てきた感覚は一晩たった今でも鮮明に残っている。

思い返せば部屋を出るとき、はじめに私にだけ目を見てついてきてくださいって言ったのも、廊下の途中で一瞬ふわっと振り返ったのも少し気になったけど、全て没入させるため、先入観を持たせるためだったのかと思うと、もう精神まで操られてしまったようで、もうどうにでもしてくれとエレベーターの中でひれ伏すしかなかった。
そこでスッと手渡された真っ赤な封筒は、震えと手汗で終わったころにはぐっしゃぐしゃになっていた。あのシーン、今も思い出すだけでちょっと冷や汗出てくる。

​素敵だった舞台は二度観ることもあるけれど、これは観たいけどハイカロリーすぎて、楽しいよりも怖いが勝ってしまい、私には無理だ。行けば、今こうかな?って思っているストーリーも、あれはなんだったんだろう・・・もわかるかもしれないが、私にはそのパワーがもうない。1回観ただけでこんななるんだから、演じる側は1日三回、本当に魂削ってるんだろうな・・・すごいな・・ともう異次元レベルで遠い目になる。​

院長が変わったこと。娘さんが見るたびに年齢が違うという意味。
全公演終わったあと、ちょっと気になるところ、答え合わせしてほしいなぁ。

 

いってきた感想は一言で言うと、

怖くないって言ったじゃん!!めっちゃ怖いじゃん!!😭でも最高of最高!!! 

です。

ロッカーの名前が短谷川だったり、東雲の文字リはちょっと笑けました。 

 

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